Googleアドセンスではこれまでスマホでウェブサイトを見た際に、そのファーストビュー(画面に最初に表示される領域)にレクタングル中と呼ばれる300×250ピクセル以上のサイズの広告を掲載することは、ポリシー違反となっていました。
しかし、米国時間2017年5月2日にGoogleのAdSenseポリシーチームが発表した内容を見ると、レクタングル中の広告ユニットをスマホのスクロールしないで見えるファーストビュー領域(above the fold)に掲載することも可能となっています。
アドセンスのポリシー変更理由
Googleの見解ではファーストビューにレクタングル中の広告ユニットがあってもユーザーフレンドリを害しないという結論に至ったとのこと。
これは昨今iPhoneやGALAXYをはじめ画面サイズが大きくなっていることも関係しているのでしょう。
しかし、日本ではiPhone5やiPhone SEのように4インチサイズの小さい液晶画面を持つスマホも人気があります。
これらの端末ではファーストビューにレクタングル中の広告があるウェブサイトは、大部分を広告で埋め尽くされてしまいます。
上図:レクタングル中をヘッダーに表示させた例
上記GoogleAdSenseポリシーチームの声明の中では、ファーストビューに対するレクタングル中の配置制限が撤廃された後でも、コンテンツをスクロールしなければ見えないような位置に押しやることはユーザエクスペリエンス(UX)の観点から推奨しないと述べています。
結局のところGoogleにとっても広告収入を伸ばしたいがためにユーザエクスペリエンスを犠牲にする行為のようにも見えます。
AdSense広告を貼る方の身としては、今回の制限緩和は嬉しい半面、スマホでウェブサイトを見る立場でいえば、迷惑なことです。
日本でも同様にアドセンスのポリシーは緩和されたのか?
さて、ここまで述べてきたようにスマホでの表示においてもスクロールしないで表示される領域にレクタングル中の広告ユニットを配置できるようになったわけですが、日本でもポリシーの制限が緩和されたのでしょうか?
AdSenseのポリシーは基本的に国ごとによらず統一されていますが、一方で国によってポリシーが異なるものも存在します。
現状日本のAdSenseポリシーサイトで見ると、下記のようにスマホのページ先頭にレクタングル中の広告ユニットを表示することはポリシー違反に該当するという表記が残っています。
300×250 の広告ユニットをハイエンド モバイル端末用のページの先頭に表示することは、ポリシー違反に該当しますか?
はい。これは広告の配置に関するポリシーのスクロールしなければ見えない位置にコンテンツを押しやるサイト レイアウトに該当するため、ポリシー違反となります。モバイル向けに最適化されたページでこのように広告を設置すると、初期画面に広告が占める割合が大きくなりすぎるため、ユーザーにとっての利便性が低下します。常にユーザーにとっての利便性を意識する視点を持ちましょう。このことはサイトのアクセス数を維持するうえでも重要です。
一方で、スクロールしなければ見えない位置にコンテンツを押しやすレイアウトに関するポリシー部分には変化があります。
従来は、「
スクロールしなければ見えない位置にコンテンツを押しやるサイト レイアウト
スクロールしなければ見えない位置にコンテンツを押しやるサイト レイアウトは避けてください。こうしたレイアウトは、ユーザーにとってコンテンツと広告の区別が難しくなります。
取り敢えず様子見
取り敢えず、今のところはスマホのファーストビューにレクタングル中以上のアドセンス広告を貼るのは止めておきます。
如何せん、このブログとは別サイトではありますが、僅か数ヶ月前にはじめて今回取り上げたポリシー部分の違反警告を受けたからです。
因みにその時Googleから来た通知は以下の内容です。
タイトル:
「モバイル画面のスクロールせずに見える範囲にある大きな広告について」
文面:
Google 広告を紛らわしい方法で掲載することは禁止されています。最適なユーザー エクスペリエンスを保つため、Google 広告とサイト コンテンツは明確に区別する必要があります。これにはたとえば、モバイル端末でスクロールしなければ見えない位置にコンテンツが押しやられていたり、モバイル端末向けサイトでスクロールせずに見える範囲に 300×250 以上の大型広告ユニットが配置されているレイアウトが含まれます。ポリシー違反が生じることのないように、サイトと広告のレイアウトがすべての端末でポリシーに準拠していることをご確認ください。
また、制限が緩和されたとしても「スクロールしなければ見えない位置にコンテンツを押しやるサイトレイアウト」ポリシーとの棲み分けはどのように行われるのかも気になるところです。
ファーストビューのレクタングル広告配置は収益大
因みにポリシー違反とみなされてしまったサイトではありますが、スマホのファーストビューに配置していたレクタングル広告は鉄板の記事下なんかよりも収入をあげていました。
それだけに、制限緩和に確信が持てれば収益向上のためにモバイル端末のファーストビューにレクタングル広告を配置すると思います。
しかし、既に述べたようにこれはユーザエクスペリエンスを損なう行為だと思うので悩ましいところではあります。
アドセンスの制限緩和が続き、UXは損なわれる
今回の300×250サイズの広告ユニットをモバイル端末のファーストビューに掲載できるようにする規制緩和もそうですが、昨年アドセンス広告が1つのページに掲載できる数について制限を撤廃したことも記憶に新しい出来事です。
従来は1つのページにアドセンス広告は3つまでしか一般のアドセンスユーザは掲載出来ないというポリシーがあったのですが、現在は数に関する制限はありません。
このように最近のAdSenseでは、ポリシーの制限緩和が続いています。
広告の数が増えるにしろ、モバイル端末の最初に大きな広告が表示されるにしろ、ウェブサイトを見る一般エンドユーザにしてみれば嬉しいことではない変更です。
Googleは検索やGmailなどでもそうですが、ユーザエクスペリエンスの向上を目指しているという発言が目につきます。
そのために、検索などではAMP対応の促進も行っているわけです。
しかしAdSenseに関していえばそれらとは逆行しているようにみえます。
それだけGoogleが広告収入の確保に苦戦し始めているということなのかもしれません。